皆さん、こんにちは。アラフィフ看護師でブロガーのエストです。
50代になり、長年病院勤務を続けてきました。患者さんの命と向き合い、時には夜勤もこなす日々。
やりがいを感じる一方で、正直なところ「もう少しお給料が上がれば…」という不満も常にありました。
そんな中、最近SNSや美容クリニックの広告を目にするたびに、ある事実にびっくりすることが増えました。
それは、「美容クリニックで働く看護師さんの方が、日勤のみで、同じ日勤だけで働く私達病院看護師より手取りが良いらしい」という話です。
「夜勤を含め、働く私達よりも、日勤だけで、同じ日勤の病院看護師より高給だなんて…羨ましい」
最初は信じられませんでしたが、調べていくうちにその背景が見えてきました。
このブログは病院経験の長い看護師の私が、求人広告等で見た【美容看護師】さんたちの給与を見て「羨ましい」「でもどうしてなんだろう?」と疑問を持ったのがきっかけで作成しました。
今回は、この疑問について、少し調べたのでお話ししたいと思います。
ここでも診療報酬の話が出てきます!
それについてはこちらを参考にしてくださいね。
【看護師の私が「これってどうなの?」と思った診療報酬の話】↓
診療報酬ってこんなところに影響があるんだ!とまたわかりますよね!
今回のブログを読んで皆さんの知識や今後の就職活動等にお役に立てれば幸いです!
なぜこんなに違う?病院と美容クリニックの給与の「差」
なぜ、同じ看護師なのに、働く場所が違うだけでこれほど給与に差が出るのでしょうか?
主な要因は、それぞれのビジネスモデルと収益構造の違いにあります。
診療報酬制度の違い:保険診療 vs 自由診療
私達が働く病院の診療は、基本的に**「健康保険」が適用されるものです。これを保険診療と呼びます。
- 病院(保険診療主体)の給与構造の背景:
- 保険診療では、診療行為一つ一つに対し、国が定めた診療報酬点数に基づいて報酬が支払われます。この点数は全国一律で、病院が自由に価格を設定することはできません。
- 厚生労働省が定める診療報酬は、医療の質を担保しつつ国民皆保険制度を維持するためのものです。しかし、病院の経営は人件費、設備費、薬剤費など多岐にわたるため、診療報酬の範囲内で効率的な運営が求められます。このため、看護師の人件費にも一定の制約が生じます。
- 参考:厚生労働省「診療報酬について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/index.html
一方で、美容クリニックの多くは「自由診療」が主体です。
- 美容クリニック(自由診療主体)の給与構造の背景:
- 自由診療とは、健康保険が適用されない医療行為を指します。美容医療は、病気の治療ではなく、個人の容姿改善などを目的とすることが多いため、自由診療に分類されます。
- 自由診療の場合、クリニックが提供する施術やサービスに対して自由に価格を設定することができます。例えば、同じヒアルロン酸注入でも、クリニックによって料金が大きく異なるのはこのためです。
- 高額な施術を提供することで、1人あたりの患者さんから得られる収益が高くなり、それが看護師の給与に反映されやすい構造になっています。
収益構造とインセンティブ:固定給 vs 成果報酬・インセンティブ
- 病院看護師:固定給が基本
- 病院の看護師の給与は、基本給に加えて、夜勤手当、住宅手当、通勤手当などの各種手当が加算される固定給が一般的です。
- 看護師一人ひとりの売上目標という概念はなく、チーム医療として患者さんへのケアを提供します。
- 夜勤手当は、深夜や休日の勤務に対する対価であり、身体的・精神的負担に対する補償としての意味合いが強いです。
- 美容看護師:インセンティブ制度の導入
- 美容クリニックでは、基本給に加えて、個人の売上や貢献度に応じたインセンティブ(成果報酬)制度を導入しているところが少なくありません。
- 例えば、契約件数に応じたインセンティブ、物販(化粧品など)の販売目標達成に応じたインセンティブなどがこれにあたります。
- 看護師もカウンセリングや施術提案に深く関わるため、医療知識だけでなく、営業的なスキルやコミュニケーション能力が給与に直結するケースがあります。
労働環境・業務内容:緊急性・重症度 vs 安定性・接遇
- 病院看護師:高い専門性、緊急性、重労働
- 病院の看護師は、患者さんの命に関わる状況に常に対応し、急変対応、重症患者のケア、手術介助など、高度な医療知識と判断力が求められます。
- 身体介護(入浴介助、おむつ交換など)も多く、肉体的な負担も大きいです。
- 夜勤やオンコール(緊急呼び出し)があるため、不規則な生活になりがちです。
- 美容看護師:日勤のみ、緊急性が低い、接遇重視
- 多くの美容クリニックは日勤のみで、夜勤やオンコールがほとんどありません。そのため、生活リズムが安定しやすく、プライベートの時間を確保しやすい傾向にあります。
- 美容医療は、生命の危険に直結する緊急性の高い処置が少ないため、精神的なプレッシャーは病院と比較して低いと言えます。
- しかし、患者さん(お客様)との接遇スキルが非常に重視され、施術の質だけでなく、心地よいサービス提供が求められます。
私がこれから考えること
今回の調査で、美容クリニックの看護師が日勤のみで高い給与を得られる背景が、病院とは全く異なるビジネスモデルにあることがよく分かりました。
私達病院看護師は、日本の医療の根幹を支える非常に重要な役割を担っています。
しかし、その労働に見合った対価が十分に支払われているのか、という疑問は払拭できません。
もちろん、美容看護師の仕事も楽なわけではなく、専門的な知識や高いコミュニケーション能力、そして営業センスも求められるでしょう。
今回の気づきを通して、私自身も今後の働き方について深く考えるきっかけになりました。
現状維持のままで良いのか、それとも新しい道を模索すべきなのか。
皆さんも、この情報が自身のキャリアを考える上で、何かヒントになれば幸いです。
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