こんにちは。
私は50代、病棟メインで30年以上、看護の現場で奮闘しているアラフィフブロガーエストです。
皆さんは、日本の看護師の給与は低い、海外とは仕事内容や立場が違う、そんな話を耳にしたことはありませんか?
30年以上この仕事をして、そのような話は時々聞いていましたし、私もそう感じていました。
今回、日本と海外の看護師の違いってなんだろう?って考え、調べることにしました。
このブログは事実に基づいた情報を知ることで、私たちの仕事や未来を改めて見つめ直すきっかけになるのではないかと思い、今回は信頼性の高いデータをもとに、日本と海外の看護師について、客観的な比較をまとめてみました。
日本と海外の看護師の給与面
まず、皆さんが最も気になるであろう給与についてです。
厚生労働省や信頼できる転職サイトなどの公開データから、日本の看護師の平均給与は以下のようになっています。
- 日本の看護師の平均年収:
- 厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は約517.9万円です(2025年時点)。
- 年齢別に見ると、20代前半の約420万円からスタートし、50代前半の約580万円でピークを迎える傾向にあります。
- 施設規模によっても差があり、職員1000人以上の大規模病院では平均年収が約536.1万円と、100人未満の施設(約439.5万円)と比較して高い傾向が見られます。
- 新卒の初任給(基本給)は、日本看護協会の調査で約21万~22万円が平均とされています。
一方で、海外の看護師の給与はどうでしょうか。
各国によって状況は大きく異なりますが、主要な国での平均年収(日本円換算)は以下の通りです。
- 海外の看護師の平均年収:
- アメリカ: 約1,180万円
- カナダ: 約1,000万円
- オーストラリア: 約720万円
- イギリス: 約570万円
- シンガポール: 約440万円
これらのデータから、アメリカやカナダといった国では、日本の看護師と比較して年収が非常に高いことがわかります。
ただし、これには物価や税金、社会保障制度の違いが大きく影響しているため、単純な比較はできません。
しかし、この給与の差は、看護師の専門性や責任の重さがどのように評価されているかを示唆しているとも言えるでしょう。
業務内容と専門性の違い
日本の看護師の仕事は、患者さんの療養生活の援助から、医師の診療補助、そしてメンタルケアまで、非常に多岐にわたります。
具体的には、点滴や注射、バイタルサインの測定、食事や排泄の介助、清拭などが含まれます。
一方で、海外、特に看護先進国と言われるアメリカなどでは、業務内容がより細分化・専門化されている傾向にあります。
- アメリカにおける業務分担の一例:
- CNA(Certified Nursing Assistant):看護助手。バイタルサイン測定や血糖測定、清潔ケア、おむつ交換など、日本の看護師が担う業務の一部を担当します。
- LPN(Licensed Practical Nurse):准看護師。正看護師の指示の下で、限られた医療行為を行います。
- RN(Registered Nurse):正看護師。患者さんの状態を総合的に評価し、看護計画を立てて実施する役割を担います。
このように、海外では看護師がより高度な専門業務に集中できる体制が整っている場合があります。
これは、患者さん一人ひとりに向き合う時間を確保し、より質の高い看護を提供することに繋がります。
また、一部の国では、看護師が特定の条件下で死亡宣告を行うことや、救急外傷部門での入退院の決定に関わるなど、日本に比べて自律的な判断が求められる場面が多いことも特徴です。
立場と社会的評価
日本では、看護師は医師の指示のもとで業務を行う「診療の補助者」としての側面が強く、法的には医師が医療行為の最終的な責任を負います。
しかし、近年では看護師の専門性が高く評価され、認定看護師や専門看護師といった専門性の高い資格制度が整備され、多職種連携における重要な存在として認識されるようになってきました。
海外では、特にアメリカにおいて、看護師は医師と同等の専門職として高い地位と社会的評価を得ていると言われています。
これは、看護師が高度な知識と技術を持つ専門職として自律的に業務を行うことが広く認められているためです。
また、国によっては、登録を3年ごとに更新する必要があるなど、常にスキルアップが求められる仕組みも存在し、これが専門職としての地位を確立する一因となっています。
まとめ:日本と海外の看護師の違いを理解して
給与面ではアメリカなど一部の国と比較すると日本は低い傾向にありますが、業務内容や専門性の違い、そしてそれぞれの国の医療体制や文化的背景を考慮すると、単純に優劣をつけることはできません。
日本でも、訪問看護ステーションや介護施設での活躍の場が広がり、専門性の高い看護師の需要は高まっています。
私自身も30年以上の経験の中で、看護師の役割が変化し、専門性が重視されるようになってきたことを肌で感じています。
日本と海外の看護師の違いを知ることは、私たちが「どんな看護師になりたいか」「どんなキャリアを築きたいか」を考える上で、非常に重要な視点を与えてくれます。
このブログが、皆さんの看護師としてのキャリアを考える一助となれば幸いです。
【出典】
- 日本の給与・統計データ:
- 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」(※2025年8月時点での最新情報として参照)
- 日本看護協会 調査研究報告
- 海外の給与・業務内容:
- 厚生労働省「諸外国における看護師の業務について(事務局提出資料)」
- 各種海外求人情報サイト(※年収データは為替によって変動するため、概算値として記載)
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